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志賀高原ビール "縁喜!? 酒
志賀高原ビール "縁喜!? 酒

志賀高原ビール "縁喜!? 酒IPA 自家栽培米 金紋錦 純米 / ShigaKogen "ENGI!? Sake IPA

911円(税込1,002円)
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残り 2 本!

DETAIL

【Area】 日本・長野
【Style】 酒IPA!?
【ABV】 11.5%
【ML】 330

-Brewer's Voice-
この三年間、玉村本店の清酒 縁喜(えんぎ)とのコラボとして、 "NIGORI" Sake IPA をリリースしてきました。
今回も、基本的な考えは同じだったのですが、新たな試みをした結果、こういうことに。
そう、にごってないのです。
ベースのビールは、今回も同じく其の十。
Miyama Blonde 同様、自家栽培の酒米 酒米をつかった、大人気のIPAです。
そこに、自家栽培のをつかって醸した代表的商品 自家栽培米 美山錦 純米吟醸 の、発酵最終段階のもろみを加えてつくったのが、昨年までの "NIGORI" でした。
今年は、美山錦の純米吟醸のかわりに、自家栽培の 金紋錦の純米酒のもろみをつかいました。ベースの其の十の方も、金紋錦で仕込んでます。
すると、いままでとはちがう展開に!
去年までは、其の十に、もろみを加えたあとの発酵はそれほどではなく、結果として、酒のもろみがそのままに近い状態でミックスされ、もろみ由来の甘味に、吟醸酵母の香りがあわさった飲み物でした。
ある種、日本酒要素が強い、ヘイジーな IPA 的な。
ところが、今年は、もろみを加えたビールが、そこから60日以上にもわたってさらに発酵を続けました。
通常のビールでは、どうしても酵母が分解できない糖分が残糖として残ります。
ちょっと前に流行した Brut IPA などでは、酵素剤などをもちいることによって、この残糖を分解可能なかたちにして、ドライな味わいを目指すのですが、それでも0.5%程度の残党残糖分は残ります。
ですが、今回のこの ENGI!? では、その糖分が完全に分解されるまで発酵が続きました。
結果、去年までの "NIGORI" は、8.5%程度のアルコール分だったのですが、今回は 11.5%に!
その過程で、本来、いままでの "NIGORI" と同程度のもろみがあったはずが、分解されて、こんなにクリアになったということのようです。
日本酒では、酒米の澱粉を、麹が糖に変える糖化と、それを酒母(=酒の酵母)がアルコールに変える発酵が同時にすすむことで、醸造酒では世界的にも最も高いアルコール分を生み出します。
この「糖化」と「発酵」が、同じ液体のなかで並行して複数同時に行われることを、「並行複発酵」と呼び、日本酒づくならではの特徴だと言われています。
ところが、今回、このビール(税務上は「発泡酒」)のなかで、今回その「並行複発酵」が起こったと考えるのが、どうも一番あり得るのかなと思っています。
ビールの残糖ともろみ成分を、麹由来の酵素が糖化しながら、同時にその糖をビールと清酒の酵母がアルコールにかえ、長期間の再発酵が続いたと。
とにかく、結果的ににごっていない "NIGORI" が出来ちゃいました。
味は全然違うし、そもそもにごっていない。
同じ名前では、去年までの "NIGORI" のファンは、混乱する。
酒由来の味わいも強いし、名前を変えなくては。
ということで、
"ENGI !?" Sake IPA 自家栽培米 金紋錦 純米
ということに。
"ENGI!?" としたのは、「これって、もはや縁喜!?」っていうことで。

11.5%、IBUは 67とか?
何の説明もなく、これを飲まされたら、
「私は誰?ここはどこ?」
的になってしまうかもしれないくらい、未体験な味わいかも。
日本酒とビールがバッチリ融合しているともいえるのではと思ってます。
いつもなら、ついつい「白ワイン的」とか書きがちなのですが、今回は全然ワインじゃなくて日本酒的。
あえて他の飲み物に例えるなら、ボタニカル感満載のドライなジンとかを思い出すのですが、そのジンをこの度数に割ったら、たぶんこんな味はしないだろうな。
実は、KPN や THE FARMHOUSE の6周年 Week で、先行で飲んでもいただいたのですが、人によって、この "ENGI"?" が、日本酒とビールのどちらに近いのか、かなり意見がわかれました
まず、繰り返しますが、去年までの "NIGORI" とは、全くの別物です。
もろみ由来の澱は、多少ボトルの底にあるのですが、その量は、"NIGORI" とくらべて、圧倒的に少ないです。
澱を混ぜないと写真のようにかなりクリアなブロンド。
澱をまぜると、うっすら霞むくらいですので、どちらがお好みかもお試しいただき、ご意見をお聞かせいただきたいところ。

香りは、ホップ由来の柑橘の感じに、ほのかな吟醸香。
酒由来の甘やかな味わいに、和な青い柑橘や、白ブドウ、パイナップルのような含み香。
ホップ由来の苦味はそれほど感じませんが、甘やかさをキリッと締めています。
飲み口はドライな印象で、信じてもらえないかもしれないと思いますが、アルコール度数を感じません。

11.5%というのは、ビールとしてはだいぶ高アルコールではあるのですが、日本酒としてはかなり低アルコールの部類。
いわゆる強いビールのような度数な印象はなく、低アルコールの日本酒のような物足りなさがないのです。
実際、何人かのビールのプロにブラインドで「何% だと思う?」と聞いたところ、「6%、いや5%」なんて答えが返ってきたり。

かなりに「新しい酒」となりましたが、そこはぼくらのやつ。
もちろん、ばっちり食中酒です。
「甘〜い、美味しい」的なやつではありません。
むしろ、完全に「辛口」です。
やっぱり、和食との相性はかなりいのでは?
鮨なんかにも合う、日本の IPA といったら言い過ぎか?

しかし、果たして本当に来年以降、同じものをつくれるのか、若干心許ないところもあるのですが、日本酒とビールのハイブリッドの新しい可能性をすごく感じています。
こうしたものに取り組めるのは、やはりビール屋と日本酒屋(と酒米をつくる農家)であるからゆえ。
最近、いろんな日本酒インスパイアのビールが出てきていますが、まちがいなくその中でもかなりオリジナルなものになったのではと思っています。
この分野、これからもっともっと掘り下げていこうと思っています。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
思い入れたっぷりの特別な1本。
どうぞ、お試しいただき、みなさんのご意見をお聞かせください。